国際ワークキャンプ経験談(オーストリア)
■ 『オーストリアでのワークキャンプ(2008年7月〜8月)』
オーストリアでは、アルプスの山岳地での伝統的な酪農を維持していくことは多くの困難を伴います。伝統的な酪農家の方々は、夏の間は標高の高い(1,500〜2,000m位)山の斜面にある牧草地に牛を放牧しています。山の中の牧草地は、きちんと手入れをしていないとどんどん雑木が伸びてきて茂みに覆われていき、やがて、何百年もの間維持してきた牧草地がなくなっていってしまいます。したがって、牧草地を維持していく為には、伸びてきた雑木を切って処分しなければなりません。多くの牧草地はとてもアクセスの悪いところにあり、多大な手間を必要とする上、伝統的な酪農はとても生産性が低く、また、牛乳や牛肉の価格が低いために経済的にキビシくなっています。そのせいか、山間部の放牧地はこの80年間で約半分に減ったとのことです。ですが、この伝統的な酪農は、地域の資源を有効に活用し、輸入飼料に頼らずに牛を飼育できる方法であります。そして、アルプスの美しい景観を守ることにも役立っているのです。僕たちは、このワークキャンプで牧草地を整備するお手伝いをすることによって、アルプスの伝統的な酪農を支援することができました。
総勢27名の参加者が泊まるために用意していただいたのは、山の中腹(標高1,370m)にあるスキーリゾートのしゃれたペンションでした。3〜4人ずつ泊まった客室には、それぞれシャワールームや洗面所、トイレが付いています。もちろん寝るのはベッド。客室の他には食堂やミーティングルームがあり、今まで参加したワークキャンプで泊まっていた所に比べると、贅沢過ぎるくらい豪華で、とても快適に過ごせました。ですが、ワークをする牧草地は1ヶ所ではなくあちらこちらにあり、その日によってワークの場所は替わります。ペンションから遠く離れた所で作業をする時は、その場所の近くにある小さな山小屋に泊まることもありました。山小屋では、寝るのは寝袋です。もちろんシャワーなんてありません。昼休みに川に遊びに行き、その時に冷たい水で体を洗ったりもしましたが、そういう川さえない場所もありました。ペンションに比べたら山小屋の方はとても簡素な所ですが、だからといってそれが苦痛なわけではなく、そういう生活の方がかえってワークキャンプっぽいような気もしました。
ワークは週4日で、土日の他に水曜か木曜がお休みでした。ワークそのものの時間は日によって違い、おおよそ5〜8時間程度でしたが、とてもハードで大変な作業でした。その上ワークをする場所が標高1,500〜2,000m位の所にありますので、僕たちは毎日そこまで歩いて往復しなければなりませんでした。日によっては、片道2時間もかかったこともあります。体に蓄積されていく疲労を考えると、ワークが週4日でよかったと思います。ワークの内容は、上記の通り牧草地の整備です。牧草地の中に伸びてきている雑木を農家の方々がチェーンソーでどんどん切っていきますので、僕たちはそれを集めて山積みにします。場所によっては、それに火をつけて燃やすこともありました。前半の1週間は天気の悪い日が多く、連日冷たい雨が降り、みぞれが降る中でワークする日もありました。後半の1週間は晴天に恵まれ、ワーク中も山からの眺めはとても素晴らしかったです。
ペンション滞在中は、朝食と夕食は食堂でペンションの食事をいただきました。夕食は、オーストリアの伝統的な料理が中心でした。朝食の時に、昼食用に自分でパンにバターやジャムをぬったりチーズやハムをはさんだりしたものを作り、それを袋に入れて作業する場所まで持って行ってお昼に食べていました。山小屋に泊まった時は、農家の方々が作ってくれたものを食べていましたが、日によっては自分達で朝食を作ったりもしました。
参加者はとても元気で体力のある人が多く、昼間あれだけハードに働いているにもかかわらず、毎晩飲み会をやったり、時にはナイトハイキングに行ったり、ワークのある日なのに朝食前に朝4時過ぎからハイキングに行ったりとかしていました。休みの日には、連日のハードワークで溜まった疲れを癒す為にリラックスして過ごしたり、ゲームに興じたりする事もありましたが、天気のいい日はハイキングに行ったりサッカーをしたりフリスビーで遊んだりと、体を動かしていることもありました。ワークキャンプの真ん中の土曜には、夕方から“International Lederhosenfest in Windisch-Garsten”(lederhosenとは、オーストリアの伝統的な民族衣装です)という『音楽とビールの地元の大きなお祭り』に行き、夜中の2時まで楽しんでいました。
人里離れた山の中で、しかもハードワークだったにもかかわらず、嫌になる事なく2週間楽しく過ごすことができました。それは、
・ワークの目的と意義が理解でき、納得できることだった
・ハイキング、ゲーム、スポーツ、飲み会、お祭りなどのアクティビティが充実していた
・多くの仲間と共に過ごせた
ということがあったからだと思います。
パソコンでご覧の方はこちらをどうぞ。