アメリカ・マサチューセッツ州 North Plain Farmでの長期ボランティア

『アメリカ・マサチューセッツ州 North Plain Farmにて(2006年9月 ~ 2007年8月)』

2007年8月9日午前5時。いよいよ日本帰国の日だ。
日中は常に15名ほどいるキッチンに私一人。いつも賑やかなNorth Plain Farm(以下NPF)が静けさに包まれるこの時間は、この1年間共に過ごした仲間たちとの思い出を振り返るのに最適だ。

「一年間、あっという間だった」

自閉症や難聴、癲癇といった障害を持つ7名と共同生活を送るNPFの朝は早い。私の場合、早起きの子のために毎朝5時半の起床から始まり、総勢15~20名分の三度の食事、掃除洗濯、各アクティビティーの参加をし、皆が寝付く夜の9時までと、とにかく座るヒマがない程だ。
サンクスギビングやクリスマスといった休暇時になると、他施設から数名のゲストもやってくる。笑い声の絶えない場所だ。

昨年度、NPFでの生活を始めたころは不安で意だった。
障害者の知識ゼロ、英語も下手、もともとはインドネシアに行きたかったのにと、「期待に胸膨らませて…」とは言える状態ではなく、「やるしかない!」という気持ちのほうが強かった。そんな中、私の意識を変えるきっかけになったのは、ある障害者の一言だった。

「ここにいて楽しい?」

その瞬間、目の前にある家事に追われ、ついつい眉間にシワがよっている自分に気づいた。ハッとした。
自分なりにNPFでの生活を楽しんでいるつもりだったのだが、やはりそれはあくまでも“つもり”。その子は私の眉間のシワを見て、自分が何かしてしまったと勘違いしていたのだ。その出来事までには数ヶ月間共に生活し、自分の態度ひとつで相手、特に世話をする障害者の精神状態が全く変わってしまうと身にしみて分かっていたのに、いつの間にかそれを忘れてしまっていた。早く仕事を終わらせなくては、と常にセカセカ動き、いつのまにか自分に余裕が持てなくなっていることに気づいた。
この一件の後、常に前のめりだった姿勢を少し後ろへ戻すように心がけることで、より自然な自分で生活することができ、また心にも余裕が持てるようにない。こうすることで以前よりも、彼らの生活上で今何を必要としているのかがすぐに分かり、その手助けをすることで更に彼ら障害者との信頼関係を気づくことができたのだ。

この一年間は私にとって、もっとも刺激的な年になった。異国の言葉・文化・生活様式・人々…全て私が知る日本とは全く異なる世界でのボランティア。壁にはぶち当たるし、つらいと思う事もある。しかし、それを解決しようと努力して得たものが、今の自分自身につながっていると思う。
これが最後ではなく、今後も国内・国外を問わず、積極的にボランティアに参加していきたい。

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