これまで山梨の山には何度となく登り、「山梨百名山」は登るために読んでいますが、「日本百名山」や「花の百名山」は手にしたことがありませんでした。
それぞれの山には、それぞれの季節で咲く花があり、それを見た人それぞれに思いがあるわけで、何山は何の花とはきめつけられないのではないでしょうか。
高山には高山の、低山には低山の良さがあり、同じ山に季節を変えて何度も登る楽しみを覚え、行き着いた先が三ツ峠山で、植生の保全活動にも関与させてもらっています。
そして今、三ツ峠山と周辺の山々との相違や類似に関心を持っています。
ところで、ごく最近に「花の百名山」のリストを見る機会があり、三ツ峠山の欄に「レンリソウ、フジアザミ」の掲載があり、気になったので調べてみました。
田中澄江著「花の百名山」には高尾山は載っていますが、三ツ峠山は載っていません。その後の「新・花の百名山」には高尾山が載らずに、三ツ峠山が載っています。
その三ツ峠山の欄にある「レンリソウ」という花にはこれまで気づかずにきましたが、篠原博著「三ツ峠の自然界」の植物目録にも、「マメ科、初夏・河口道・麓」と記載されていました。
さっそく「レンリソウ」を図鑑で調べ、ネットで検索して見ると、どうもおかしいのです。三ツ峠山で撮ったというネットの写真はどうみても三ツ峠山でよく見る「ナンテンハギ(フタバハギ)」です。
そこで「新:花の百名山」を蔵書している図書館から借りて来て読んでみました。
挿絵はちゃんと「レンリソウ」に間違いありません。
「ナンテンハギ」は双葉の短い葉柄の腋から花序を出し、花期は7~8月なのに対し、「レンリソウ」は茎が3稜で翼があり、葉柄が伸びて1~3対の小葉をつけ、先はつる状になっていて、長い葉柄の腋から花序を出し、花期は初夏の6月頃のようです。
「新・花の百名山」の本文を読んでみて、さらに違和感を覚えました。レンリソウの記載は三ツ峠山ではないのです。
杓子山や石割山、それに御坂山塊の黒岳や御坂山には花の時期に登っていて、その時見たとあります。
また、三ツ峠山には冬にしか登ってなく、花の紹介は山頂手前の説明看板に掲げられているものを列挙しているだけです。
オリジナルの「花の百名山」に掲載がなく、「新・花の百名山」に三ツ峠山を載せてはいるものの、三ツ峠山の花を愛でた文章になっていないのです。
「新・花の百名山」で高尾山はなぜ割愛されてしまったのでしょうか。これも不思議です。
「花の百名山」には高尾山がトップバッターで登場していて、野山の花を愛しむ心情をつづっていますが、その文章が無くなってしまっているのも残念です。
図書館には「NHK版・花の百名山」というビデオもあったので、これも見てみました。
三ツ峠山荘の管理人の奥さんが案内役で、8月下旬の三ツ峠山を河口浅間神社から母ノ白滝経由で木無山へ登り、開運山山頂までのコースをたどるものでした。
レンゲショウマ、ウメバチソウ、ワレモコウ、マツムシソウ、カイフウロ、フジアザミなどが紹介されていて、約20年前の映像ですが、今でも違和感なく見ることができました。
三ツ峠山には、花を見に訪れる人よりも、富士山を見に登る人の方が多く、また岩登りのトレーニングに来られる方も大勢いますが、昨今花目的では、カモメランの咲く6月とレンゲショウマの咲く8月に登る方が多いようです。