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2018年4月21日~22日、月例会を開催しました。
日本山岳遺産基金からいただいた助成金で、アツモリソウ生育地の保全作業用に、刈り払い機2台とチェーンソー1台を購入しました。
今月の例会での作業はササ刈りを予定していましたので、早速刈り払い機を使っての作業ができ、これまでの何倍もの効率で作業がはかどりました。
いただいた助成金で、ニホンジカ防護柵を追加設置するため、約200m長分の資材も購入しましたので、5月の例会ではその一部60m長分の設置作業を行います。
すでに、自然公園法、保安林法、地権者への許可申請も済ませてあります。
設置作業にあたり、下枝を払ったり雑木を除去する上で、購入したチェーンソーが効力を発揮することになります。
5月例会は5月19日~20日の開催で、作業は19日の土曜日は午後1時~4時、翌20日の日曜日は8時半~11時半の予定です。
日帰り参加もOKで、ご都合のつく時間でかまいませんので、ご協力いただける方は、三ッ峠山荘までお越しください。
早朝の富士山
早朝観察会でクモイコザクラを見に行きました。
ヒメスミレサイシンも咲いていました。
気の早いキバナノコマノツメも1輪見つかりました。
日本山岳遺産基金の2017年度の日本山岳遺産に、三ツ峠が認定されました。
2018年2月25日の日本山岳遺産サミットにおいて認定証が授与されました。
日本山岳遺産認定証三ツ峠
アツモリソウの保護活動とその自生地の保全活動が認めていただけたと思います。
その活動内容を紹介します。
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高度成長時代の山野草ブームで高山植物が深刻な盗掘被害を受け、三ツ峠山のアツモリソウも減少してしまいましたが、三ツ峠山荘のオーナーを中心に日本高山植物保護協会の会員有志が長年アツモリソウ保護のための巡視を続けてきました。
山梨県の高山植物保護条例の制定や環境省の種の保存法の制定で、アツモリソウの保護活動が認知されるようになりました。
2000年からアツモリソウの株数調査を毎年行っています。また盗掘されないように許可を得て唇弁を損傷することも行いますが、ポリネーターによる授粉ができなくなることから優良な株どうしを交配させることも始めました。
さらに自生地の多様性を維持する保全作業も行うようになり、それを手伝ってくれる登山客もおりました。
2009年にアツモリソウ保護に関心のある人たちに声掛けして、三ツ峠山荘で高山植物保護活動の勉強会を開催しました。保全作業を参加者みんなで実際に体験してみて、この保全作業を継続していこうということになりました。
折しも2010年にニホンジカが自生地に現れるようになり採食被害が確認されたことで、環境省や県と町の行政機関と話し合い、環境省のグリ-ンワーカー事業としてニホンジカ防護柵を設置することが決まり、その設置作業をお手伝いしました。
環境省事業に続き、富士河口湖町のアツモリソウ保全協議会事業としても柵の設置作業を行い、さらに自然公園ボランティアファンドや民間企業の助成金を得るなどして、柵の設置作業を行ってきました。
アツモリソウ自生地の保全作業を継続し、またニホンジカ防護柵の設置作業を行うなど、事務局をおいてボランティアを募って活動するため、三ツ峠ネットワークを設立して運営しています。
毎年4月から11月に月例会を開催して、植生を単一化してしまうササやテンニンソウなどの除伐、遮光障害を来す下枝を払うといった保全作業を行っています。またカモメランやウチョウランなどの保護活動も展開しています。
これまで山梨の山には何度となく登り、「山梨百名山」は登るために読んでいますが、「日本百名山」や「花の百名山」は手にしたことがありませんでした。
それぞれの山には、それぞれの季節で咲く花があり、それを見た人それぞれに思いがあるわけで、何山は何の花とはきめつけられないのではないでしょうか。
高山には高山の、低山には低山の良さがあり、同じ山に季節を変えて何度も登る楽しみを覚え、行き着いた先が三ツ峠山で、植生の保全活動にも関与させてもらっています。
そして今、三ツ峠山と周辺の山々との相違や類似に関心を持っています。
ところで、ごく最近に「花の百名山」のリストを見る機会があり、三ツ峠山の欄に「レンリソウ、フジアザミ」の掲載があり、気になったので調べてみました。
田中澄江著「花の百名山」には高尾山は載っていますが、三ツ峠山は載っていません。その後の「新・花の百名山」には高尾山が載らずに、三ツ峠山が載っています。
その三ツ峠山の欄にある「レンリソウ」という花にはこれまで気づかずにきましたが、篠原博著「三ツ峠の自然界」の植物目録にも、「マメ科、初夏・河口道・麓」と記載されていました。
さっそく「レンリソウ」を図鑑で調べ、ネットで検索して見ると、どうもおかしいのです。三ツ峠山で撮ったというネットの写真はどうみても三ツ峠山でよく見る「ナンテンハギ(フタバハギ)」です。
そこで「新:花の百名山」を蔵書している図書館から借りて来て読んでみました。
挿絵はちゃんと「レンリソウ」に間違いありません。
「ナンテンハギ」は双葉の短い葉柄の腋から花序を出し、花期は7~8月なのに対し、「レンリソウ」は茎が3稜で翼があり、葉柄が伸びて1~3対の小葉をつけ、先はつる状になっていて、長い葉柄の腋から花序を出し、花期は初夏の6月頃のようです。
「新・花の百名山」の本文を読んでみて、さらに違和感を覚えました。レンリソウの記載は三ツ峠山ではないのです。
杓子山や石割山、それに御坂山塊の黒岳や御坂山には花の時期に登っていて、その時見たとあります。
また、三ツ峠山には冬にしか登ってなく、花の紹介は山頂手前の説明看板に掲げられているものを列挙しているだけです。
オリジナルの「花の百名山」に掲載がなく、「新・花の百名山」に三ツ峠山を載せてはいるものの、三ツ峠山の花を愛でた文章になっていないのです。
「新・花の百名山」で高尾山はなぜ割愛されてしまったのでしょうか。これも不思議です。
「花の百名山」には高尾山がトップバッターで登場していて、野山の花を愛しむ心情をつづっていますが、その文章が無くなってしまっているのも残念です。
図書館には「NHK版・花の百名山」というビデオもあったので、これも見てみました。
三ツ峠山荘の管理人の奥さんが案内役で、8月下旬の三ツ峠山を河口浅間神社から母ノ白滝経由で木無山へ登り、開運山山頂までのコースをたどるものでした。
レンゲショウマ、ウメバチソウ、ワレモコウ、マツムシソウ、カイフウロ、フジアザミなどが紹介されていて、約20年前の映像ですが、今でも違和感なく見ることができました。
三ツ峠山には、花を見に訪れる人よりも、富士山を見に登る人の方が多く、また岩登りのトレーニングに来られる方も大勢いますが、昨今花目的では、カモメランの咲く6月とレンゲショウマの咲く8月に登る方が多いようです。
10月17日~18日、月例会を開催しました。
三ツ峠山頂の紅葉も進み、富士山も冠雪の時期となり、1日目は防鹿柵の止め具の緩みを確認して締め直す作業を行いました。
登る時には小雨模様だった天気も回復してきて、午後からの作業には支障がなく、ちょうど作業が終わる頃になると、富士山が雲間から姿を現すようになりました。
水滴をつけたマユミの実
雲間から姿を現した富士山
三ツ峠山頂の紅葉
夕方にはすっかり雲もなくなり、次の日の朝は快晴で、雲海の上に富士山が浮かんで見えていました。
山荘前から夕景の富士山
山荘前から日の出前の富士山
山荘前から日の出直後の富士山
山荘前から日の出1時間後の富士山
2日目は、朝食を早々とって下山して、新道峠からすずらん峠経由で黒岳へと上り、日向峠(どんべい峠)へと下る、紅葉狩り登山を楽しみました。
新道峠第2展望台からの富士山
新道峠第1展望台からの富士山
黒岳展望台からの富士山
黒岳への紅葉狩り登山
8月15日~16日、月例会を開催しました。
一日目は草地の保全作業を行い、二日目は御巣鷹山から清八山への稜線を下り、清八林道で登山口へと回り、昼食をとってから富士山科学研究所を訪れました。
昨年は青木ヶ原樹海を訪れていますが、今年訪れた研究所は剣丸尾溶岩流のアカマツ林の中にあります。
登山口で見かけたツルニンジン(ジイソブ)の花
登山道で見つけたオニシバリ(ナツボウズ)の実とツノハシバミの実
山頂周辺で見かけた花々、レンゲショウマ、アズマレイジンソウ、メタカラコウ、ウメバチソウ、カイフウロ、マツムシソウ、クルマバナ、シオガマギク、コオニユリ、タチコゴメグサ、チダケサシ、ノハラアザミ、タムラソウ、ヤマノコギリソウ、シシウド、・・・
山荘前からの夕景の富士山
朝露に輝くキツリフネソウ
御巣鷹山からの下山道で見つけた大きなキノコ、アカヤマドリ
富士山科学研究所に咲いていたミヤマウズラとジンバイソウ、それにツルリンドウ
7月18日~19日に月例会を開催しました。
アツモリソウ生育地の保全活動に加え、ウチョウランの保護活動の一環として、ウチョウランの調査と管理札の設置を行いました。
管理札はできるだけウチョウランの撮影には邪魔にならないように設置してありす。
管理札を設置することでかえって盗掘者に場所を教えることになるのではといった考えを述べる方もいるようですが、管理札を設置し、札と一緒にウチョウランを写真に撮って記録しておくことではじめて、盗掘の実態をきちんと報告できるのです。
それがなければ泣き寝入りするしかないのです。
昨年の花期が終わり管理札を外した後に、種をつけていた株がそっくり採掘されてしまったと考えられる形跡が残っています。
毎年管理札を設置し直すのではなく、今後は継続して管理する記録方式を採用していく計画です。
保全活動と併せて、観察会も楽しみの一つですが、土曜日には小雨もぱらつき、風の強い1日でしたが、日曜日には晴れ上がりました。
今回は早朝観察会を山頂へ行ってみることにしたところ、思いがけず少しガスが流れて、ブロッケン現象を撮ることができました。
6月20日~21日に月例会を開催し、アツモリソウの生育する草地の保全作業を行いました。
小雨の中で作業していただいた皆さん、ご苦労様でした。
この時期、カモメランを見に大勢の方が訪れますが、カモメランも他の山野草同様に開花が早く、今年は花数が多かったように思います。
せっかくきれいなカモメランを観賞できる喜びも、心ない一部のカメラマンによって、群生地手前の草がむしりとられたり、踏み固められたりして、ダメージを受けてしまった場所がありました。
自然公園保護官に状況報告と対策について報告をして、回復養生のため立入禁止のロープを張り、保護対策の理解と協力をお願いするメッセージを発信することにしました。
花は咲いていなくても、周囲には幼株の葉があり、また、地中には葉を出す前の幼根だけの株も成長を続けています。
今々開花している花の写真を撮るため、気付かずに、将来咲く花を踏みにじってしまっているかもしれません。
踏み固められたダメージは、回復するのに何年もかかります。
また、損傷を受けた植物は回復できずに終わってしまうかもしれません。
自然を損傷してまで自分好みの状態にしてしまい写真を撮るのではなく、自然をそのまま撮ってほしいと思います。
国立公園内では、許可なく歩道以外に立ち入ることや、植物を損傷することは、自然公園法で禁止されていることも理解して、みんなが楽しめるような環境として維持していけたらいいですね。
アツモリソウも長年にわたる盗掘で激減してしまいましたが、少人数の保護活動で守られてきた株も、頂上付近まで侵入してきたニホンジカによって食害の被害を受ける事態となり、柵で囲ったりせざるを得なくなっています。
また、数が激減したことで他の植物が勢力を拡大して、ササ、カリヤスモドキ、テンニンソウ、クマイチゴ、ヤマドリゼンマイといった植物が、草地を単一化してしまいかねない状況になっています。
これらの脅威植物を許可を得て除伐したり、人間が植えたのをきっかけに大きく成長し、ひどい場所では間伐も必要なくらい林を作ってしまってきているカラマツの下枝を払ったりといった保全作業に、繰り返し人出をかけざるを得ない事態です。
そのような保護活動によって、希少植物アツモリソウをはじめとして、多様な植生が維持されていることを皆さんにご理解いただき、ご協力していただきたいと思います。
囲われているアツモリソウの花の写真を撮るために、草地に入り込んでいる形跡も何か所かで見られますが、ラン科植物は地中でラン菌と共生していて、ラン菌がいないと発芽できず、成長もできません。
発芽しても地上に葉を出すまでには何年間、さらに花が咲くまでに何年間もかかります。
本来の自然界では人間が花の周りに立ち入ることはなく、花の周りを踏み固めることで花にとって重要なラン菌等の土壌菌にダメージを与えてしまいます。
歩道から草地に入り込んで、咲いている花の周りに近づきすぎないようにすることが、保護活動の第一歩だということをあらためて認識した年になりました。。