マツについて調べてみました(続)―フィールド知識

富士山北麓のマツ科植物について
富士山には亜高山帯で見られるハイマツが見られません。富士山が独立峰で、南アルプスや八ヶ岳・奥秩父の亜高山帯から遠く離れているため、そこのハイマツ帯に棲むホシガラスの貯食行動圏外となっているからでしょうか。
ヒメコマツは一合目の青木ヶ原樹海から五合目までの針葉樹林内に点在していて、樹海では、直径が1m近く、高さが20mを超えるような個体を見ることがあり、リスなどが好んで食べています。
五合目で見られるのは稚樹で、小さいながら球果を付けているのを見かけることもありますが、あまり多くは見られません。リスたちが長い年月をかけて、麓から順次植樹(?)しながら登山していって、とうとう森林限界までたどりついたと言えます。
富士北麓の登山道を一合目から五合目まで登っていくと、マツ科植物が標高によって棲み分けているのがわかります。標高が高くなると、ツガ属はツガからコメツガに、モミ属はウラジロモミからシラビソに変わります。オオシラビソは日本海側に多いといわれていますが、富士山北麓では、シラビソと一緒にオオシラビソも見られます。
溶岩流上のマツ科植物
北西部の青木ヶ原溶岩流の樹海は、ツガやヒノキが中心の原始林で、アカマツ、ヒメコマツ、ハリモミなども混生しています。
北部のスバルライン沿いの剣丸尾溶岩流上にはアカマツ林が、そして東北部の山中湖村の鷹丸尾溶岩流上には国の天然記念物に指定されているハリモミ純林があります。中に入ってみたことはありませんが、道路から覗いて見るとアカマツとハリモミが混生していて、ハリモミの幼樹も見かけますが、モミの幼樹が多く見られます。
            山中湖村のアカマツとハリモミ
山梨日日新聞2010年7月21日付けの記事「ハリモミ人工育成順調 山中湖―古里の純林再生目指す」によると、山梨大学の先生が中心になって10年ほど前に種子を発芽させ、育てた苗木5千本が、3年前県に寄贈され県有林に植樹されているものが順調に生育しており、ゆくゆくはハリモミ純林の再生につなげる計画のようです。
三ツ峠山のマツ科植物
三ツ峠山の河口登山道沿いはカラマツとウラジロモミが中心で、尾根筋や岩場の日当たりのよい場所にはアカマツが混生しています。登山口あたりではツガを見かけ、そして登山道途中ではヒノキが育ってきているところがあり、シラビソも混じっています。
また三ツ峠山荘の南東斜面では、葉のとがったトウヒ属の仲間を見かけます。イラモミ(マツハダ)だと思いますが、どうでしょうか。

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