2011年7月9日の朝、三ツ峠山荘の中村さんから、昨晩ホタルが舞うのを見たという情報をいただき、午後から登ってきました。
登山道にはトリアシショウマ、シモツケ、コアジサイ、バイカウツギが咲いていて、クガイソウももうすぐです。ヤマアジサイは装飾花が開いています。
コアジサイの花をアップで
夕方近くに一雨きましたが、暗くなる前に止み、尾根にかかっていた雲が滝のように流れてとれていきました。
やがて富士山の雲も取れて登山道の灯りが見えるようになる頃には富士吉田市の灯りも輝いています。
いよいよ暗くなってホタルも点滅をはじめました。思っていた以上の数です。
空には半月と星が見られ、ホタルの観賞と合わせて、いろんな光の競演を楽しむことができました。その上懐中電灯の灯りで夜道を下山してきました。
このホタルは、陸生のヒメボタルで、昔から山頂周辺に生息しているようですが、このホタルを観賞するために三ツ峠山に登る人はあまりいないようです。
梅雨開け頃から2週間ほどは見られるということです。今年花の開花は遅れましたが、梅雨明けはいつもより早く、ホタルの舞う時期も昨年よりずっと早いようです。
いよいよ梅雨明けです
6月のボランティア活動 3つの写真をお届けします
三ツ峠山の花だより
2011年5月31日、三ツ峠山の花の様子を見に登ってきました。
今年はすでに梅雨入りしましたが、今日は晴れの天気予報だったので出かけてみることにしました。しかし山頂に着くころにはすっかりガスってしまいました。
梅雨明けまではすっきり晴れるということは少ないと思いますが、山頂近くのトウゴクミツバツツジが開花の様子を見せ始めましたので、富士山をトウゴクミツバツツジと一緒に撮りたい人は、今週末から来週にかけてがチャンスではないでしょうか。
三ツ峠山荘前のトウゴクミツバツツジの開花状態
登山道沿いで見かけた花たち
西川新倉林道の三ツ峠登山口のトイレ前から出発しようとすると目の前に真っ白なルイヨウショウマが咲いていました。
歩き始めてしばらくすると、白っぽい花が低木に咲いていました。オオツクバネウツギだと思います。また同じような、少し黄緑色のキバナウツギも咲いていました。
中腹以上にはミツトウゲヒョウタンボク(コウグイスカグラ)もまだ咲いていましたが、山頂近くのアラゲヒョウタンボク(オオバヒョウタンボク)はすでに小さな実をつけていました。
マメザクラも緑色の実をつけていますが、オオカメノキは今が最盛期です。
開けた明るいところには朱色のクサボケ、山頂近くの明るい場所には黄色のキバナノコマノツメが、そして山頂近くの林床を見ると、最盛期を過ぎたツルシロカネソウ、これから最盛期を迎えるシロバナエンレイソウ(ミヤマエンレイソウ)、それにルイヨウボタンが咲いていました。ユキザサはまだつぼみのままでした。
6月の月例会を開催します
6月の月例会を6月18、19日に開催します。
18日昼12時三ツ峠山荘集合~19日昼食後解散の予定です。
6月の三ツ峠山にはトウゴクミツバツツジが咲き誇ります
絶滅が危惧されているアツモリソウを始め、多様な植物が自生する草地が、盗掘や踏み倒し、気候の変動といった環境変化によって、ササ、テンニンソウ、ヤマドリゼンマイといった植物がはびこり、植生が単一化してきているといった状況にあります。
元々は風衝地だったところが、何の目的からかカラマツが植樹されたことで、その種が飛散し、今では部分的なカラマツ林ができてしまっていますが、植生にも影響を及ぼしてきたと考えられます。
昨年からはニホンジカ問題が深刻な状況にあります。林内のヒロハツリバナの樹皮が採食されて皮剥ぎ状態にあり、草地ではオオバギボウシが食い荒らされてしまい、裸地化状態になってしまったスポットも見られます。
昨年、環境省事業として、木無山草地の一部を急きょ防鹿柵で囲うことができましたが、今年もまたその追加事業として防鹿柵の拡張が計画されています。
また、今年になって富士河口湖町と話し合いをもち、この5月に三ツ峠山希少植物保全協議会が発足し、三ツ峠ネットワークもメンバーに加わっています。
防鹿柵設置だけでなく、植生の豊かな草地を復元し維持していくための活動を行っていきます。
そこで、6月の月例会は、アツモリソウやカモメランなどの観察会や高山植物についての勉強会を兼ね、ササ、テンニンソウ、ヤマドリゼンマイなどの刈り取り作業を行います。また、今年の防鹿柵設置予定地の下草刈りや木枝の除伐作業を行うことも考えています。
宿泊での参加はもちろん、日帰りでの参加も歓迎しますので、ご参加いただける方は早めに事務局までご連絡ください。お問い合わせからも連絡できます。
18日一緒に登山を希望される方は、西川新倉林道の三ツ峠登山口に10時30分集合してください。
東京方面から電車で来られる方は、河口湖駅10時5分にピックアップできるよう手配しますので、併せて事務局へお申し出ください。
なお、山荘の宿泊費、飲食費、旅行保険費などは、各自の自己負担でお願いします。
宿泊費は一泊二食付きで8000円ですが、持ち込みは自由です。
作業時の虫よけ対策をしてきてください。また、宿泊者は作業後にシャワーを使うことができます。
大勢の方のご参加をお願いします。
三ツ峠山も花の季節到来です
三ツ峠山も花の季節になりました。山頂近くのマメザクラが咲き、近づくとコマルハナバチの羽音がブンブンしています。今日はコマルハナバチに混じってひときわ大きいオオマルハナバチの女王らしきのを見つけました。マルハナバチたちが飛び交うのを見かけると、いよいよ花の季節到来と、山に通うのが楽しみです。
マメザクラを訪れていたオオマルハナバチ
今月中旬頃から山頂近くでも、タチツボスミレに混じってエイザンスミレやアケボノスミレが咲いています。また登山道で気をつけていると、ヒナスミレやヒメスミレサイシンも見かけます。先月のスミレ観察会の後、やたらとスミレを探しながら歩くようになりました。
スミレ以外では、キジムシロ、ミツバツチグリはもちろんですが、ツルシロカネソウ、ヒゲネノワチガイソウ、フデリンドウ、そしてシロバナエンレイソウが咲き始めています。
フデリンドウ
また、登山道の中腹では、足元だけでなく少し見上げるくらいの高さに、オオカメノキやミツトウゲヒョウタンボクも花をつけています。山頂近くのアラゲヒョウタンボクの方が少し早くから咲いています。
林道あたりではミツバツツジが咲いているのを見かけますが、山頂近くで花が見られるのは6月に入ってからになりそうです。
オオカメノキ(ムシカリ)
ミツトウゲヒョウタンボク(チチブヒョウタンボク、コウグイスカグラ)
アラゲヒョウタンボク(オオバヒョウタンボク)
スミレ観察会の後で
先週末のスミレ観察会はボランティア作業の後で、時間的余裕があまりなかったため河口浅間神社から母ノ白滝へは車で移動しましたが、その後登山道を歩いてみました。
河口浅間神社から母ノ白滝までは寺川に沿った一本路で、路傍にはいろんなスミレが咲いていて、先日の観察会では撮れてなかったスミレの写真を掲載しておきます。
スミレ以外の花では、ヒトリシズカとニリンソウの花が咲いていました。
4月の月例会を実施しました
4月23、24日に予定通り、月例会初回の観察会登山とボランティア作業を実施しました。一日目はあいにくの雨にもかかわらず、9名の方が参加してくれました。
夜半まで雨が降り続け作業は何もできませんでしたが、スミレ観察のための座学をはじめ、ニホンジカ問題と今年の鹿対策について、また、東日本大震災の支援や原発問題、富士山の成り立ちと火山・地震といったこと、さらにラン科植物をはじめとした三ツ峠山の花について等々、いろんな話し合いができ勉強になりました。
三ツ峠山荘の中村さんも加わってくれて、保全作業をしてもらうだけでなく、こういった話し合いをすることも大事なことだとおっしゃっていただきました。
それぞれ違った人生経験をしてきてる人たちが集まり、生の声で気軽に自分の意見を言い合えることや、たとえ考えは異なることがあっても、三ツ峠の自然生態系の保全をしていくという共通認識のもとに、協力して作業をすることでお互いの交流を深めあっていくことがいいことではないでしょうか。
二日目は前日とは一変して晴れとなり、富士山や南アルプス、八ヶ岳、それに北アルプスまでもが見渡せる良い天気となりました。
三ツ峠山頂からの富士山と南アルプス
早朝は写真を撮る手も冷たくかじかんでいましたが、朝食をとり作業を始める頃には大分暖かくなっていました。
昨年設置した防鹿柵を見てまわり、今年設置予定の場所を眺めてから、昨秋以来ニホンジカの食害を受け皮剥ぎ状態のひどい林内に行き、まだ被害にあっていない、あるいは被害は受けてはいるもののまだ大丈夫そうなヒロハツリバナの幹回りにプラスチックネットを覆う作業を行いました。
ところで、ニホンジカの採食による皮剝ぎ調査をしていて、写真のような傷痕を何か所かで見つけました。今回参加したメンバーの一人が前日登山途中、クマを間近に目撃していたこともあり、メンバーの間でクマの爪痕ではないかということになりましたが、その後、シカのツノ研ぎ跡ではないかという示唆がありました。クマにしては傷跡が深く、長すぎるように思えます。
クマの爪痕か? ではなく、シカのツノ研ぎか?
いったん小屋にもどり、今回のボランティア作業の主目的であるササ刈りも行いました。山野草が多様で豊かだった風衝地にササやテンニンソウなどがはびこり画一化してきている生態系を保全するための作業ですが、この時期はササ刈りを行うことにしました。
作業してみると10cmほど下の土はまだ凍ったままです。短い時間でしたが汗をかきました。
木無山風衝地保全のためのササ刈り
今回作業は早めに10時ころ切り上げて下山し、昨日できなかったスミレ観察会を、三ツ峠登山コースの一つである河口浅間神社から母ノ白滝周辺で行いました。今日のインストラクターをお願いした渡邊さんが準備してくれたスミレ一覧図のハンドアウトの資料を片手に、資料だけではわかりにくい部分を補足してもらいながら、スミレ探しをしました。
図鑑を見るだけでは難しいスミレ探しやその同定は、やはり良く知っている人に案内してもらうのが一番です。そして、実物を観察することで愛着を持ち、覚えていくことが大事ですよね。
今年は開花が遅れていて、河口湖畔の桜も今が満開で、スミレ探しも心配されましたが、思ってた以上に種類も多く数もたくさん見ることができました。また、めずらしいスミレを観察することができたのもインストラクターが下見してくれたおかげです。ありがとうございました。参加された皆さんに満足していただけたのではないでしょうか。
このエリアでポピュラーなスミレ
スミレを観賞した後、母ノ白滝でパワーをもらってから帰りました。皆さんお疲れさまでした。
スミレ以外の花では、河口浅間神社周辺の林床にはヒトリシズカ、ヒゲネノワチガイソウ、シロバナエンレイソウが、また母ノ白滝周辺ではオオヤマザクラが咲いていました。
私は後に残って少し散策をしていたら目の前にヤマドリがやってきました。河口湖周辺の里山でキジはよく見かけますが、ヤマドリを見るのはめずらしいことです。
目の前に現れて餌をついばんでいたヤマドリ
防鹿柵設置予定地を下見しました
今日三ツ峠山に登り、環境省富士五湖自然保護官と富士河口湖町環境課資源保全担当と一緒に、今年予定している防鹿柵設置計画のための下見をしてきました。
木無山北斜面の昨年設置した柵の下の方へと下っていくと、右手林内の先にニホンジカが1頭逃げていくのが目撃されました。
日中の11時を少し回った時間に見かけたということは、ニホンジカも日中この辺を出歩いても大丈夫か様子見にきていたのでしょうか。
今年の柵設置は、この木無山北斜面下部の草地と、更にその下の登山道を横切った先の長者ヶ原を予定していますが、長者ヶ原から御巣鷹山にかけて、林内のあちらこちらで、これほどたくさんヒロハツリバナがあったのかと思わされるほど、多くのヒロハツリバナの幹が真っ白に皮剥ぎ状態になっていて、痛々しい光景が眼に映ります。
今年の設置予定地として考えている草地だけでなく、御巣鷹山の草地も何らかの手立てを考えなければならないという思いで、下山してきました。
今月に入って三ツ峠に三回足を運んで、一度目は長者ヶ原で、二度目は木無山草地で、そして三度目の今回は御巣鷹山草地で、三回連続してカモシカに出会いました。
一見したところでは同じカモシカかと思いましたが、写真を見比べてみると、なんとなく顔つきが違うようにも思われます。それぞれのカモシカが、ニホンジカに縄張りを荒らされて困っているとでも訴えたいのでしょうか。
2011年4月3日長者ヶ原のカモシカ
2011年4月15日木無山のカモシカ
2011年4月21日御巣鷹山のカモシカ
登山口に戻って駐車場を後にして、県道を下っていく途中、ダンコウバイ、キブシ、バッコヤナギ(ヤマネコヤナギ)の花が咲いていたので、写真を撮ろうとして車を止め、カメラを構えた矢先、すぐ下の斜面でガサガサっと音がしたので見下ろすと、カモシカが跳び去っていくのを見かけました。
昨年カモシカを撮ろうとして購入したセンサーカメラで、早春前のまだ雪が残っている時期に二度カモシカを撮った後は、ニホンジカの採食現場をとらえるために使うことに利用しましたのでカモシカは見かけませんでした。また三ツ峠山では実物を見たことがありませんでした。
しかし、今年になってからは、本栖湖から下部へと車で下って行ったときにもカモシカを見かけており、奇妙にも行く先々でカモシカを見かけるように思えてなりません。
観察会登山とボランティア作業
河口湖畔の桜が見頃となりました。事務局から湖畔に出て写真を撮ってきました。
いよいよ山野草の写真を撮るのが楽しみな季節となりました。
今週末、母ノ白滝周辺でスミレの観察会を計画していますが、天気の方が少し心配です。
23~24日の天気予報から、集合場所と時間を変更します。
23日の午後1時から2時を目安に三ツ峠山荘にお集まりください。スミレの見分け方など座学をしながら、天気の様子を見て作業を行います。
そして、翌24日は作業を早めに切り上げ、午前10時頃に下山を始め、昼近くに母の白滝へと行き、スミレ観察会を行うようにします。
車の方は、河口浅間神社駐車場に10時30分集合です。都心方面から電車の方は河口湖駅着10時3分でピックアップします。駐車場から母ノ白滝までは車で往復します。
パワースポットともいえる母ノ白滝でエネルギーをもらいましょう。天気が良ければ富士山の眺望が見られます。
ヤマザクラはまだだと思いますが、マメザクラが咲いているかもしれません。でも本命はスミレです。今年は花の開花が遅れていますが、何種類見つけられるでしょうか。
昼食後、三ツ峠山登山口まで移動して、三ツ峠山荘へと登ります。
夕食前に、撮った写真を使ってスミレの見分け方などの座学を行う予定ですが、翌日の天気の様子次第では、夕食前にボランティア作業を行い、座学は夕食後にします。
翌日天気が良ければ、ボランティア作業を行います。
観察会だけ、あるいはボランティア作業だけの参加もOKです。
詳細は事務局までお問い合わせください。
なお、観察会登山とボランティア作業の月例会を、5月は14日、15日、また6月は18日、19日に行う予定です。
視覚能力について調べてみました(4)特殊な光受容器の機能
体内時計
あらゆる生物は体内時計を持っているといわれています。では、昆虫の体内時計はどこにあるのでしょう。不完全変態の昆虫は幼虫の時から複眼と視葉をもっており、この視葉に時計機能があることがわかっています。一方、サナギから成虫になる段階で複眼や視葉が形成される完全変態の昆虫では、幼虫段階も体内時計は働いており、脳に相当する神経節に時計機能があるようです。
脊椎動物では、脳にある松果体が周期的にメラトニンというホルモンを分泌することで、一日のリズムをつくりだしていますが、哺乳類以外ではこの松果体に時計機能もあり、光受容器を持っていてズレの調整を行っています。
一方、哺乳類の松果体はメラトニンを分泌する能力だけであり、体温の調節やホルモンの分泌調節といった体の生理機能をコントロールしている視床下部の、眼からの視神経が交叉する部分の真上にある一対の視交叉上核と呼ばれる神経細胞が、昼行性と夜行性とに関係なく昼にピークをもつ電気活動リズムを刻んでいて、網膜からの明暗信号によってズレの調整を行っています。
また、ある種の爬虫類や鳥類では松果体と合わせて視床下部でも一日のリズムをつくっていることや網膜からの光情報も重ねて時計機能が働いているようです。
さらに、昆虫は一日のリズムをつくりだすだけでなく、日長によって季節の変化を知ることができることや、脊椎動物の中には、一年の長さを測る概年時計を持っているものがあることも確認されています。
鳥の渡りの仕組み
鳥類の場合は地球磁場を検知していると考えられていますが、どこに磁気コンパスがあるかは謎のままです。
どちらが北かという方位感覚だけではなく、赤道からどのくらいの位置にあるかも認知できているようで、これは磁線の角度を感知できているからだとされています。
鳥の磁気コンパスは環境における光に影響を受け、光のうち、緑色から青色光下では正常な渡りが行えても、黄色や赤色光下では行えなくなるようです。
最近の説として、鳥の目の中にある青色光受容器のクリプトクロムというタンパク質が、活性酸素の一種であるスーパーオキシドと結びついて生じる電子対が、地球磁場の影響を受けた回転をすることで、視覚神経細胞を伝わる信号の流れが変わる現象が、コンパスの働きをしているのではないかという説があるようです。
ヘビの赤外線受容器
ある種のヘビには、目と鼻の間にピット器官と呼ばれるものがあります。赤外線がこのくぼみ状のピット器官内に入り込むと、ピット器官の中にある、非常に薄い皮膜の温度が上がります。
この熱感知に関与する神経経路は、視覚よりも触覚に近いもので、ほ乳類が痛みを感知する受容体と同系統のものだそうです。
動物の光受容器を通した視覚能力を調べてみましたが、自然界には人間が見る世界とは違った見方をしている動物がいるということであり、自然にとっては人間の常識は必ずしも常識ではないということだと思います。
人間は画像情報と言語情報を中心にした生活を営んでいますが、動物の嗅覚情報に依存した営みについて、植物との関係も含めて調べてみたいですね。人間も自然に対してもっと謙虚でなければならないということをより強く感じられることでしょう。