現在のDefartでは、状態遷移図がそのまま状態機械に与えるデータに変換されるようになっている。この部分がシステムの特徴であり、AIBOにさせたいことを直感的かつコンパクトに表現できるように工夫を行うのが当初の目標であった。これについては、まだ工夫や実験の余地があるので、もう少しこのアプローチを続けようと思う。
一方でAIBOをsqueakで操る部分について、現状ではまったくスマートな形ではない。全くしくみの異なる2つのモノ(squeakとAIBO)が、いいかげんなインターフェイスによって辛うじてつながっているような感じである。この部分はもう少しsqueakの特徴、つまりオブジェクトの中身を「自由に」扱うことができること、を生かせるような設計にすべきであると思う。
ロボカップ4脚リーグが風前のともし火である今、購入したAIBOの残りの犬生を通常の授業に活用していくことも考えに入れなければならない。そうすると、1人が1台のAIBOを占有するのが前提となっているのも見直す必要がある。
ひとつのアイデアは、1台のAIBOを複数のPC上のdefart/PCで共有し、それぞれのPCからAIBOを操れるようにすることだ。何人かがAIBOのプログラムを作って順繰りに動作を試したり、動作している間のAIBOの認識状況や内部状態の変化をそれぞれのdefart/PCで観察できるようにする。
単にAIBOを見ているだけではブラックボックスとしか映らないので、defart/PCを通じて生きているオブジェクトであるAIBOの内部状態を覗き見できる(さらに動作に関与できる)ようにする。
動いているプログラム(状態機械に与えるデータ)をダイナミックに変化させることもできるようにする。AIBOの内部的な状態もできる限りsqueakでオブジェクトを操るしくみと同期させる。
このようにすれば、defart/PCは、現実のAIBOのsqueakオブジェクト表現に変化させることができ、自律型ロボットの内部構造や状態機械の動きを経験的に理解することも容易になるのではないだろうか。
他にも細かいアイデアはあるが、大まかにはこういう路線で次のシステムを作っていこうかと思っている。