かれこれ3年ほど前にロシアに行ったとき、一緒に行った同僚や学生さんがガイドさんにいろいろ質問をしていました。社会学系を専攻している人が多かったためか、ロシア人の平均年収はいくらかとか、平均的に自動車を持っているのかとか、そういう質問が多かったのです。
ガイドさんは、「そうですね~車はほとんどの家庭にありますよ」とか「ダーチャと呼ばれる別荘もかなり持っていますよ」とか、そういう答えかたをしていたのですが、平均年収については困った顔をしました。
「何で平均が知りたいのですか?」「年収の平均値に意味がありますか?」と聞かれると、今度は質問した側が逆に困ってしまいました。
「全体的な様子が知りたいから」と応じると「平均だと余計わからないですよ」との答え。
要するに、ロシアでは富裕層と一般層の収入の差が著しく、さらに一般層でもかなりの年収の違いがあるのでひとくくりに年収の平均値を出したとしても、その年収に該当する層が存在しないということらしいのです。なるほど。
統計学を考えればあたりまえのことですが、普段から無意識的に全体の推計として平均値を使っていたことを認識させられました。これが身体に染み着いてしまっているような気もしました。
あと、もう一つの理由としては、公式の年収(という数値)の信憑性にも疑問があるそうです。というのもどの家庭も何らかの副業があり、税務署には知らせていない場合も多くあるからだそうです。
私は平均と同様、所得を申告して税金を払うというのも身に染み着いちゃってるかもしれません。